成年後見人になるにはどうしたらいいの?メリットとデメリットは?
成年後見人とは
近年高齢化が進み、認知症の方も増えていくなかで、オレオレ詐欺など、判断能力が低下した方を狙った犯罪行為が増えてきています。また、犯罪行為とまではいかなくても、判断能力が低下してしまったために、必要のない高額商品を購入してしまうなど、一人で財産の管理をするのが難しくなってしまう方も少なくありません。
このような場合に、本人の財産を保護するための制度が成年後見制度です。
うちの場合、義父が認知症になり、義母が勝手に後見人になったという経緯があります。土地を人に貸してくれと言われて、焦ってよく調べもせずに司法書士に頼んだりして、気付いた時には裁判所に行った後でした。 話は聞いていましたが、私もよく分かっていなかったのがいけないのですが…。もっとよく調べてあげたら良かったと後悔しました。裁判所でビデオを見たのというので、成年後見人がどんなに大変で、金銭的にも義父のお金は自由に使えなくなるという事は理解はしていたはずなのですが、後で聞くと実際は分かっていなかった。 結局、土地を貸すという話もなくなり、焦って成年後見人になることもなかったのです。最悪、貸すことになってからでも遅くはなかったのです。その後半年間、司法書士の方に成年後見人をやっていただき、それから義母が成年後見人をすることになったのです。が、その矢先に病気になり、手術とリハビリで3か月の入院を余儀なくされ、成年後見人を辞任し、代わりに夫がすることになりました。司法書士の方に財産目録(土地がどれだけあって、預金残高が幾らあるか)は提出していただいていたので、提出書類は年間の収入・支出の内容と金額(収支予定表)を裁判所に1年に1度提出しました。成年後見人としてした事は、義父が施設に入っていたので、月に一度施設への支払いの為、義父の預金から現金の引き出しと支払いをしていました。約3年間続け、義父が亡くなった為終了になりました。1度成年後見人になると、途中で投げ出して辞めることが出来ません。本人が亡くなるまで続ける事になります。
ただ、成年後見人という言葉は聞いたことがあるけれども、制度について詳しく知らないという方もおられると思います。 しかし、このような問題はいつご自身の身にふりかかってくるかわかりません。自分の親も、いつまでも元気でいられるとは限りませんし、高齢になって認知症になったり、病気になったときに直面して考えなければいけない時が来るかもしれません。また、この記事を読んで頂いているという事は、今まさにその時なのかもしれません。
ここでは、成年後見人の選び方やその職務内容、成年後見人に関するよくある疑問点、メリットとデメリットなど、いざという時に知っておくべき点について説明します。
成年後見人とは、認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、本人の財産保護や身上監護を行う者のことです。
成年後見人が選任されると、本人の財産は、家庭裁判所の監督のもと、成年後見人が管理することになります。また、本人(成年被後見人と呼びます)が単独で行った法律行為(契約など)は、日用品の購入等を除いて、成年後見人が取り消すことができるようになります。つまり、本人は自由に財産を処分できなくなりますし、周囲の親族も成年後見人の同意なく勝手に使用することができなくなります。
本人の判断能力が低下しているために、本人の財産や権利が守られていない状況においては、成年後見人を選ぶ必要があります。
成年後見人の役割とは?
成年後見人は、本人の生活・医療・介護・福祉など、身のまわりの事柄にも目を配りながら本人を保護・支援します。
具体的には、本人の希望や身体の状態、生活の様子等を考慮して、必要な福祉サービスや医療が受けられるよう、利用契約の締結や医療費の支払いなどを行ったり、本人の不動産や預貯金等の財産を管理したりします。
また、成年後見人はその事務について家庭裁判所に報告するなどして、家庭裁判所もしくは成年後見監督人等の監督を受けることになります。つまり、成年後見人が本人の不動産や預貯金等の財産を管理するといっても、管理元は家庭裁判所になります。
成年後見人の職務
成年後見人の職務としては大きく分けて、下記の3つが挙げられます。
財産管理
成年後見人は、本人に代わって、本人の財産を適正に管理することが求められます。財産の具体的な職務としては、年金の受領、預貯金や有価証券類の管理、収入支出の把握などがあります。成年後見人は財産管理の職務を全うするために、本人の代わりに契約(代理権の行使)や契約の取り消し(取消権の行使)をします。
身上監護
成年後見人は、本人に代わって法的な契約行為を行うことで、本人の安全と健康を守らなければいけません。本人の安全と健康を守るための職務を全うするために、住まいの確保・整備や施設や病院の入退院の手続きをします。
職務内容の報告
成年後見人は、上記の財産管理、身上監護を適正に行っていることを、家庭裁判所に年に1度、自主的に報告するよう求められます。家庭裁判所に報告することで、家庭裁判所からの監督を受けることになり、より適正に本人の法定後見人を務められるのです。成年後見監督人が選任されている場合は、監督人にも報告する義務があります。
成年後見人の権限
成年後見人には、職務を行うために、下記の権限が与えられています。
・本人からの委任状なしに契約を代理で行える代理権
・本人がした契約を取り消せる取消権
・本人に代わって財産の管理や処分を行える財産管理権
ここで注意しなければいけない場合が大きく2つあります。
1つは、居住用不動産を処分する場合です。本人の居住用不動産を処分(売却したり、賃貸に出したりすること)するには、家庭裁判所の許可が必要になります。一方、居住用ではない不動産の処分は、成年後見人の職務のなかで契約を締結することができます。ただし、この場合も本人の不利益となっていないか、家庭裁判所に意見を聞くべきです。
2つ目は、本人ではなく、成年後見人に利益となるような法的判断をする場合です。本人と成年後見人が利益相反するような場合は特別代理人を選任するか、成年後見監督人が本人の代理を務めることになります。本人と成年後見人との間の取引や、本人と成年後見人がともに相続人になっている遺産分割協議などがこれにあたります。
成年後見人の職務・権限に含まれないこと
成年後見人の職務はあくまで法的に重要な判断に限られ、それ以外のことは成年後見人の職務ではありません。たとえば、下記のようなことは、成年後見人の職務や権限には含まれません。
日常の家事
買い物や食事のサポート、掃除・洗濯の家事などの生活支援は、成年後見人の職務ではありません。また、本人がした買い物を取り消したり、日常で本人の介護をしたりする必要もありません。
医療行為への同意
手術の同意は本人または家族が行います。本人の生命にかかわることへの責任を成年後見人が負うことはできません。
身元保証
賃貸契約や施設の入居際の契約の際に、身元保証人や身元引受人になることも、成年後見人の包括的代理権には含まれません。
身分行為(結婚や離婚など)、遺言書の作成
本人でなければできないこと、達成できないことを、成年後見人が代理で行うことはできません。たとえば、離婚、養子縁組、離縁などがこれにあたります。遺言書の作成も本人自身がしなければならない行為です。
成年後見人の選任方法は?
家庭裁判所では、後見等の開始の審判をすると同時に成年後見人等を選任します。
成年後見人等の選任に当たっては、家庭裁判所が、本人にとって最も適任だと思われる方を選任します。
申立ての際に、本人に法律上又は生活面での課題がある、本人の財産管理が複雑困難であるなどの事情が判明している場合には、弁護士、司法書士、社会福祉士など、成年後見人等の職務や責任についての専門的な知識を持っている専門職が成年後見人等に選任されることがあります。
なお、誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることができません。
ま と め
成年後見人に選任されたら
成年後見人等は、選定後速やかに、面談を通じて本人の生活の状況や今後の生活上の希望等を確認します。また金融機関等へ必要な届出を行い、後見等事務の方針を立てた後、財産目録及び収支予定表を作成し、家庭裁判所に提出します。
※金融機関等へ必要な届出を行う際に、登記事項証明書の提出を求められることがあります。登記事項証明書には後見等の開 始の審判の内容が記載されており、法務局で取得することができます。
※財産目録とは、本人の預貯金や不動産などの財産がどれくらいあるのかを記載した書面です。
※収支予定表とは、本人の収入と支出の予定について、生活状況を踏まえて記載した書面です。
①成年後見人等として何をするか、計画を立てます
まず、本人がどのような生活をしているか、どのくらい財産を持っているか調べて本人に合った生活のしかたやお金をどう使っていくかなどを本人の意思を確認しながら考えます。
②本人の希望などを聞いて、必要な手続を行います
本人の思いや生活の様子を考えて、必要な福祉サービスを利用したり、年金を受け取るために必要な手続を行ったりします。
③お金のトラブルから本人を守ります。
本人が、悪質業者にだまされて、必要のないものを買わされるなどのトラブルに巻き込まれた場合には、その契約を取り消すことができます。
④本人の生活の様子を家庭裁判所又は後見監督人等に報告します。
本人の健康状態や暮らしぶり、預貯金や不動産がどのくらいあるかについて家庭裁判所に報告します。
注意するべき事柄
成年後見人は、本人の意向を尊重し、安定した生活を送ることができるよう、本人の身上に配慮する必要があります。
また、財産を適切に管理する義務を負っていますので、成年後見人等が本人の財産を不適切に管理した場合には、成年後見人を解任されるほか、損害賠償請求を受けるなど民事責任を問われたり、業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。
事務の報告
家庭裁判所は、必要に応じて成年後見人に後見等事務の状況の報告を求めており、この報告により成年後見人が適切に事務を行っているか確認します。
現在、成年後見人は、一般的には1年に1回(後見監督人等が選任されている場合には求めに応じて)決められた時期に後見等事務の状況を報告するよう求められています。
成年後見人の報酬
成年後見人や後見監督人等は、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行った場合には、家庭裁判所の決定した報酬を本人の財産から受け取ることができます。
(家庭裁判所の許可なく本人の財産から報酬を受け取ることはできません。)
※任意後見監督人についても、家庭裁判所に対して報酬付与の申立てを行った場合には、家庭裁判所の判断により、本人の財産から報酬が支払われることになります。
住所変更等をした場合
登記事項証明書掲載の内容に変更が生じたときには、法務局に「変更の登記」を申請してください。(申請の手続については、最寄りの法務局におたずねください。)
また、その際には家庭裁判所に連絡してください。
成年後見人の仕事の終了後の手続について
成年後見人等の仕事は、本人が病気などから回復し判断能力を取り戻して裁判所の取り消しの審判を受けない限り、本人が亡くなるまで続きます。申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、保険金の受領や遺産分割など)を果たしたら終わりというものではありません。
なお、成年後見人を辞任するには、家庭裁判所の許可が必要となります。
成年後見人の仕事の終了の手続
- ご本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
ご本人が亡くなった場合等は、まず、家庭裁判所に連絡します。 - 法務局への登記の申請
家庭裁判所に連絡等のほか、法務局に「終了の登記」を申請してください。(申請の手続については、最寄りの法務局におたずねください。)
成年後見人になれる人
成年後見人は家庭裁判所が選任します。成年後見人になるために、特別な資格は必要ありません。親族でもなれますし、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家が選任されることもあります。ただし、下記の条件に当てはまる場合は、成年後見人になる資格がありません。
・未成年者
・家庭裁判所で解任された※法定代理人、保佐人、補助人
・破産者
・被後見人(本人)に対して訴訟をしている人、または訴訟をした人、並びにその配偶者及び直系血族
・行方の知れない人
上記にある※法定代理人とは、法律によって本人に代わって法律行為を行うことができるとされている人のことです。成年後見人や未成年者にとっての父母などが該当します。保佐人や補助人は、法律行為や財産管理に関して、本人の代わりに同意したり、ときには取り消したりする権利を持っています。
家庭裁判所の審判によって決まるため、必ずしも本人や、周囲の人が希望する人になるとは限りません。成年後見人の人選について、不服を申し立てることもできません。
任意後見契約をすれば本人が後見人を選べる
本人が元気なうちであれば、将来、自分の後見人になってほしい人と契約(任意後見契約)をすることで、後見人になってほしい人を選ぶことができます。
この場合、本人の判断能力がなくなった時点で、家庭裁判所が任意後見監督人(任意後見人を監督する人)を選任することで、本人のための任意後見がスタートします。任意後見監督人の人選は裁判所が行います。
成年後見人の変更は簡単に認められない
いったん成年後見人が定まると、成年後見人の変更は容易に認められません。しかし、特例として家庭裁判所が成年後見人を変更するケースには次のような場合があります。
うちの場合は、義母が病気になり成年後見人を続けられなくなった為、義母から夫へ変更しました。
辞任
成年後見人から辞任の申し出があり、その理由に正当な理由があるとき(裁判所の許可が必要)
解任
成年後見人に不正な行為や、その他後見の任務に適しない事由があるとき(横領や利益相反などといった不正行為や権限の濫用、任務の怠慢があったときなど)
また、家庭裁判所は、必要があるときは複数の成年後見人を選任したり、追加で選任する場合もあります。
成年後見人は判断能力を失った本人の代わりに法的に重要な判断をします。法定代理人として職務を果たすために、成年後見人に権限が与えられているのです。
職務や権限は、成年後見人の立場によって違いがあります。成年後見人には、契約によって本人が選任できる「任意後見」と家庭裁判所が適格者を選任する「法定後見」の2つがあります。さらに法定後見のなかには、「後見」、「保佐」、「補助」と、3つの形態があります。
代理人としての権限には幅があり、補助人(法定後見)、保佐人(法定後見)、後見人(法定後見)の順で権限の幅が広くなります。任意後見人の権限は任意後見契約に従って決まります。
専門家のアドバイスをもらうと安心
成年後見人を選任する手続きには、手間と費用がかかります。しかし、上手に利用すれば、判断能力が衰えた人の生活や財産をしっかりと守ることができる制度です。
成年後見制度を利用する際には、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談するのがおすすめです。
なぜなら、成年後見人を選ぶには、裁判所への申し立てにたくさんの書類が要るほか、成年後見人が決まった後も家庭裁判所に定期的な報告が必要になるなど、法律にかかわることが非常に多くあるためです。
また、成年後見人を立てた後には、遺言や相続などといったことも視野に入れる必要があります。その都度、法律の専門家のアドバイスを受けながら進めていくと安心です。
報酬(専門家に依頼した場合)
成年後見人や任意後見監督人への報酬は、裁判所が申立てに基づいて「審判」により決定します。審判によらずに報酬を受け取ることはできません。東京家庭裁判所によると、管理財産額が5,000万円以下で通常の後見事務を行った場合、法定後見人への報酬は月額2万円が目安とされます。任意後見人の報酬は、任意後見契約で定められた金額を受け取ることができます。
最 後 に
成年後見人をやってみて、感じたメリットとデメリットは?
メリットはほとんどないと言えます。ですが、親が遠くに一人暮らしで心配だとか、一緒に暮らしたくても、色々な事情で一緒に暮らせなかったり、誰かに成年後見人を頼んで代理をして欲しいといった場合は、司法書士や弁護士の方に依頼することも一つの方法ではないでしょうか。ただ、その分必要経費はかかってしまいます。
1番のデメリットは、本人の預貯金等を全て家庭裁判所に管理されてしまうので、妻や夫、子供など家族であっても自由に使うことが出来なくなります。例えば、車を買いたいといった場合も、本人のお金を使う場合は、裁判所に相談して許可をもらう必要があります。なぜなら、成年後見人とは本人の財産を守らなければいけないという職務が第一だからです。もちろん、生活費などの必要経費は申請・申告すれば認めてもらえます。
成年後見人になるか、ならないか迷ったときは、よく調べよく考えて決めるべきだと思います。
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